慢性的にIT人材の枯渇が叫ばれる日本において、外国人エンジニアのニーズは非常に高まっています。

しかし、いざ外国人エンジニアの採用を考えた際には、

「外国人エンジニアを採用するメリットは何?」

「具体的にどうやって採用すれば良い?」

「採用する上での注意点は?」

など、様々な疑問が出てくるかと思います。

そこで今回は、外国人エンジニアにフォーカスし、採用するメリットや具体的な採用方法について解説します。

今「外国人エンジニア」が日本で注目されている理由

今注目の外国人エンジニア。日本ではなぜ外国人エンジニアが注目されているのか、その理由に迫ります。

国内エンジニアの人材不足が進んでいるから

外国人エンジニアが日本で注目されている理由の一つは、国内エンジニアの人材不足です。

経済産業省の調査によると、2030年には約45万人のIT人材が不足する見込みです。

なぜ、国内エンジニアが人材不足に陥っているのでしょうか。

その理由は、コロナ禍によるIT市場の拡大、急速な技術のアップデート、少子高齢化、エンジニアの仕事に対するネガティブなイメージが挙げられます。

また、転職サイトのDodaが発表するレポート(2021年7月)における職種別求人倍率では技術系(IT・通信)が約9倍とされています。

まさにエンジニアは売り手市場。人が集まらないだけでなく、資格や高度なスキルを持つ即戦力の採用が難しくなっています。

こうした国内エンジニアの人材不足により外国人エンジニアが注目されています。

質の高いIT人材を確保できるから

外国人エンジニアが注目される二つ目の理由としては、国内だけでは採用が難しい質の高いIT人材を確保できることです。

採用難が進む日本ですが、IT教育が充実している他の国々では就職難とされています。いくらトップの大学や大学院を卒業しても母国でエンジニアとしての就職をするには、競争率が高く難しいものです。

そこで、生活環境や文化、給与水準などの観点から日本をエンジニアとしての就職先に選ぶ外国人が増えています。

このように、高い技術を持っているにも関わらず、母国ではスキルに見合った就職が難しいエンジニアが日本に流れてきているため、質の高いIT人材の確保ができるのです。

外国人エンジニアの採用における実態

では、実際の外国人エンジニアにおける採用の実態はどうなのでしょうか?

国内で働く外国人エンジニアの推移や外国人エンジニアを採用している企業例をみていきましょう。

国内で働く外国人エンジニア数の推移

国内エンジニアの不足が進む一方で、国内で働く外国人エンジニアは年々増加しています。

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況によると、2020年10月時点で日本のIT業界で働く外国人は約60,000人になっています。

国籍別で見ると中国が半数を占めており、韓国やベトナム、アメリカなどの国籍が多い状況です。特に東南アジアの国では日本での就職を希望する人が多いため、ベトナムを筆頭として今後更にインドネシアやタイなどの国からもエンジニアの確保が期待できるでしょう。

また、法務省入国管理局が平成24年5月に「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」を設けるなど国全体として外国人材に関する取り組みが進んでいます。

このようにエンジニアの外国人化が進む日本では、将来的にも外国人エンジニアの増加が見込まれます。

外国人エンジニアを採用している有名企業

外国人エンジニアが注目される今、外国人採用専用の部署を設けるなど、外国人の採用に積極的な企業が増えています。

具体的にどのような企業があるのでしょうか。外国人エンジニアを採用している有名企業をいくつかご紹介します。

  • メルカリ
  • NTTコミュニケーションズ
  • 楽天
  • 住友電気工業
  • パナソニック
  • ソフトバンク

これらの企業は早期から外国人エンジニアの採用に目を向け、入社後の受入れ体制をしっかり整えています。また、今回は有名な企業を紹介しましたが、中小企業でも外国人エンジニアの採用をすすめる企業は増えています。

優秀なIT人材を確保するためにも、いちはやく外国人エンジニアの採用に乗り出してみてはいかがでしょうか。

外国人エンジニアを採用する4つのメリット

では、実際に外国人エンジニアを採用すると自社にどんなメリットをもたらすのでしょうか?具体的に紹介していきます。

1. 若くて質の高いIT人材を確保できる

冒頭の項でお伝えしたように、母国での就職難により、エンジニアとしてのスキルを学んだ有名大学出身の外国人が日本での就職を目指しているため、若く優秀なIT人材の確保が見込めます。

しかし、それだけではなく質の高さを保証できるのは他にも理由があります。

そもそも外国人が日本で働くために必要な在留資格を取得するためには、業務にまつわる技術やある一定のレベルの日本語力がなければいけません。

そのため、日本での就職を希望する外国人エンジニアはスキルの水準が高く、採用において若くて質の高い人材を確保することができるのです。

2. 先端技術が扱える人材を確保できる

盛り上がりを見せているAIやブロックチェーン、AR/VRなどの先端技術領域は求人倍率も高く国内での人材確保が難しい状況です。

外国人エンジニアにも目を向けて採用を行うことで先端技術が扱える人材の確保が可能になります。また、ネット上での交流が盛んで行われているエンジニアの中でも、先端技術に関してはかなりクローズドなコミュニティです。

外国語での情報交換が多いため、ネイティブな外国人エンジニアが社内にいることで、スピード感のある情報収集につながります。

3. 社内の活性化やグローバル化に繋がる

外国人エンジニアの採用は一緒に働く社員にも良い影響をもたらします。

異国で働くという決断をしている外国人は日本に来てからも必死に勉強をします。また、ハングリー精神や成長意欲を持っていることが多いため、会社全体の士気をあげ社内を活性化させる効果が期待できます。

更に、異なるバックグラウンドや価値観を持つ外国人からは、日本人とは異なる視点を得たり、世界の最新情報をキャッチアップしやすいというメリットがあります。

このように良い影響を与えてくれる外国人エンジニアの採用は、社内に活性化とグローバル化をもたらし多様性社会で生き抜く組織の構築につながるのです。

4. 海外進出の足掛かりにもなる

海外進出を検討している企業は、進出予定の国や近隣国から採用することもおすすめです。

なぜなら、社内に外国人がいることでそれぞれの出身国に必然的につながりが生まれるからです。母国のリアルで新鮮な情報が入ってくるため、海外展開を視野に入れている企業にとっては外国人社員を採用することが海外進出の大きな足掛かりになるでしょう。

外国人エンジニアを採用する上での注意点

受け入れ・管理体制の構築が必要

注意点としてまず上げられるのが外国人向けの受け入れ・管理体制の構築が必要になるということです。在留資格の取得・確認などの採用にまつわる手続きはもちろんのこと、入社後も日本人を雇用するときよりも管理工数がかかります。

例えば、外国人雇用状況届出の提出、10人以上外国人を雇用する場合は雇用労務責任者の選任が必要です。また、日常会話レベルの日本語コミュニケーションを取れる外国人はいますが、ネイティブレベルで日本語を話せる外国人はそうそういません。

伝わりやすい言葉で話したり、多言語対応にするなど人事施策の工夫が必要です

価値観や文化が異なる

異なる文化や価値観が社内にもたらされることはメリットになる反面、注意が必要です。

当たり前のようになっていた働き方や考え方が、これまで出ることのなかった意見により課題が増えることもあります。特に外国人は仕事とプライベートでオンオフの切り替えを重要視することが多いです。

また、宗教上の理由で祈りの時間が必要だったり、生活上での遵守しなければならないルールがあったりします。

そのため、文化の違いに対して受け入れる努力とお互いが尊重し合う姿勢を持つことがとても重要なのです。

就労ビザの取得・更新が必要

外国人エンジニアが日本で働くためには、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得・更新が必要です。

まず「技術・人文知識・国際業務」の取得するには、以下の条件を満たす必要があります。

1.次のいずれかを満たすこと
・自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと
・自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと(「専門士」もしくは「高度専門士」の称号を付与された者に限る。)
・10年以上の実務経験(大学等で関連科目を専攻した機関を含む。)があること
・法務大臣が告示(※)で定める情報処理技術に関する試験に合格又は資格を有していること。
2.日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
※「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」(平成二十五年法務省告示第四百三十七号)(以下、「IT告示」という。)

引用元:出入国在留管理庁

また、就労ビザを取得する際には、勤務先となる会社の審査もおこなわれます。審査内容は会社の経営状態や従業員への給料が毎月しっかり支払われているかなどです。

更に、入社後も定期的に在留資格の更新手続きがやってきます。在留期間は人によって異なるため、期間を把握し、余裕を持って更新手続きをすることが必要です。

外国人エンジニアを採用する主な方法

ここまでは外国人エンジニアを採用するメリットや注意点についてお伝えしました。では、実際に自社に見合った人材を採用するにはどうすればいいのでしょうか。

主な方法として3つ挙げられます。

 1.人材紹介サービスを利用する

 2.求人広告を利用する

 3.自社の採用サイトを利用する

採用において重視するポイントによって採用方法を工夫する必要があります。

たとえば、コストを最小限に抑えたい方は掲載コストがかからない「3.自社の採用サイト」がおすすめです。ただしこの場合採用サイトにアクセスしてもらわなければならないので、母集団形成に時間はかかるでしょう。

続いて、幅広いIT人材を募集したいという場合は「2.求人広告」がおすすめです。ただし、スクリーニングはかかっていないためビザ申請にまつわる知識を有し、自社で採用できる人材なのか見極める必要があります。

これらの母集団形成やビザ申請、採用工数など外国人エンジニアの採用で少しでも不安やお悩みを抱えている方には、総合的にサポートしてくれる「3.人材紹介サービス」の利用をおすすめします。

優秀な外国人エンジニアを採用できるおすすめサービス

続いて、優秀な外国人エンジニアを採用できるおすすめサービスを紹介します。

インバウンドテクノロジー

インバウンドテクノロジーは外国人採用に関するノウハウと85カ国以上からの集客実績を持つ外国人に特化した人材紹介会社です。

社内に多国籍な社員が在籍しており、9カ国以上の言語に対応していることが特徴です。集客や選考においても外国籍のキャリアアドバイザーが母国語でのアプローチやすり合わせも行うためミスマッチが発生する可能性がほとんどありません。

ノウハウを持った専任の担当者によるサポートがあるため、初めて外国人を受け入れる企業でも安心して採用することができます。

Linked In

採用コストを抑え、優秀な人材を採用したいという方におすすめのビジネスシーン向けSNSサービスです。

Linked Inは主に海外でメジャーとなるサービスのため、外国人の登録者が多いことが特徴です。ターゲットが明確であり、転職潜在層に狙いを定めてアプローチさえできれば通常の求人媒体にいない優秀な方を採用することができます。

Gaijin Pot

Gaijin Potは日本で働きたい外国人の就職やライフスタイルをサポートする英字情報Webサイトです。月間ユーザー60万人と外国人に圧倒的な認知度を誇っています。

サイトに登録すると、外国人視点で外国人に効くプロモーションが可能なため、求人広告を出したいけどどう掲載していいかわからない方におすすめです。

外国人エンジニア採用に関するまとめ

今回は外国人エンジニアの採用について紹介しました。

人材不足とIT業界の成長により今後更に外国人エンジニアの採用が一般的になります。いちはやく外国人エンジニアの受入れに着手し、受け入れ体制を整えておくことが採用を成功に導く大きなカギとなるでしょう。

特にエンジニアの採用でお悩みを抱えている方はぜひ検討してしてみてください。