帰国後の転職活動では、「ワーホリの経験を職務経歴書でどう表現すれば評価されるのか」という悩みが多く聞かれます。 ──海外で挑戦した事実には価値がありますが、書き方によっては“ブランク”として扱われてしまう可能性があります。
本記事では、採用担当者の視点から見た評価基準、ワーホリ経験を強みに変える整理方法、具体的な成功・失敗例、例文テンプレートまで体系的に解説します。最後に、IBTのキャリアアドバイザーによる無料添削の案内も掲載しています。
ワーホリ経験は職務経歴書に書くべき?採用担当者の本音
採用担当者はワーホリ経験をどう見ているか
結論として、ワーホリは書き方次第で「強み」にも「空白」にもなり得る経験です。採用担当者が重視するのは、海外に行った事実そのものではありません。 目的を持って環境を選び、どのような行動を取り、何を得たのかというストーリーです。具体的には、次の三点を見ています。
- なぜワーホリに行こうと決めたのかという目的
- どのような環境で、どのような役割を担ったのかという行動
- その経験から得た学びやスキルを、今後どう活かすのかという接続性
国家資格キャリアコンサルタントの見解としても、ワーホリは「主体的に環境を選び行動した経験」として評価され得るとされています。 接客や飲食、ボランティア、語学学習、多国籍チームでの協働などは、異文化対応力や英語によるコミュニケーション力の裏付けとなります。
書かないリスクと書くメリット
ワーホリ期間を職務経歴書に記載しない場合、採用担当者はその期間を「空白」として見る可能性があります。応募者の年齢や職歴の合計から逆算すると、ある程度の期間の行動は自然と推測されてしまうためです。
一方で、ワーホリを「目的 → 行動 → 学び → 成果」という流れで整理して記載すると、次のようなメリットが期待できます。
- 経験がキャリアの一部として理解されやすくなる
- 「遊んでいたのでは」という誤解を避けられる
- 海外での挑戦が主体性の根拠として伝わる
- 書類選考時の評価材料が増え、通過率の向上につながる
採用担当者は、空白の有無よりも「その時間をどう使ったのか」「今後どう活かそうとしているのか」を知りたいと考えています。 その前提を意識すると、ワーホリ経験は書いた方が得になるケースが多いといえます。
ワーホリ経験を職務経歴書に書く3つのポイント
「職務要約」で一行で位置づけを示す
職務要約は、職務経歴書全体の印象を決める重要な部分です。ワーホリの詳細を長く書く必要はありませんが、「どこで」「何を得て」「どう活かすか」という骨子は最初に示しておくと効果的です。
職務要約における基本の型は、次の通りです。
- どの国・どのような環境で経験を積んだのか
- そこで身につけた力は何か
- その力を今後どのような業務に活かしたいのか
例えば、次のような一文が考えられます。
例:「オーストラリアで接客業務に従事し、英語での顧客対応力と異文化コミュニケーション力を習得。帰国後はこれらの経験を活かし、サービス改善に貢献したいと考えています。」
このように要約部分で位置づけを明確にしておくと、採用担当者はワーホリ経験を「キャリアの一部」として理解しやすくなります。
「職務内容」では事実でなく“行動と成果”を書く
職務内容の欄に「飲食店でアルバイト」などと事実だけを書いても、評価にはつながりにくくなります。採用担当者は、その仕事の中でどのような行動を取り、どのような成果を出したのかを知りたいと考えています。
そのため、次の視点で内容を整理することが有効です。
- どのような環境で働いていたのか(国、業態、スタッフ構成など)
- 自分の役割や担当業務は何だったのか
- 課題に対してどのような工夫や改善を行ったのか
- 結果として、どのような数値や変化が生まれたのか
例えば、次のような書き方が挙げられます。
例:「多国籍スタッフ10名の職場で、英語での接客を担当。1日平均80名の顧客対応を行い、案内フレーズを整備することでクレーム件数を月15%改善。新人スタッフ3名の育成も担当しました。」
このように、役割・工夫・成果を数字とともに示すことで、実務能力が具体的に伝わります。 職務内容は、単なる経歴の列挙ではなく、行動と成果のセットで整理することが重要です。
「スキル・資格」欄では実務で使った力を明示する
スキルや資格の欄では、スコアや資格名だけを記載するのではなく、実務での活用場面を補足します。採用担当者は、「何点を持っているか」よりも「その力を仕事でどのように使えるか」に関心を持っています。
例えば、次のような書き方が考えられます。
- TOEIC 800点/飲食店での顧客対応を英語で実施
- 異文化環境でのチーム協働・課題解決の経験
- シフト調整や新人トレーニングなど、現場マネジメントの補助経験
- トラブル発生時の迅速な状況把握と顧客対応力
このように、知識ではなく「行動の結果として身についたスキル」として記載すると、現場での即戦力としてのイメージが伝わりやすくなります。
書き方の成功・失敗例【実例付き】
NG例:ブランクを強調する書き方
まず、よく見られるNG例を確認します。
例:「オーストラリアで1年間、飲食店でアルバイトをしていました。」
この書き方では、事実は伝わるものの、学びや成果が明確ではありません。そのため、採用担当者からは「国内でのアルバイトと大きな差がない」「ブランクに近い期間ではないか」と解釈される可能性があります。
また、「何をどのくらい行ったのか」「どのように成長したのか」が読み取れないため、評価のしようがないという問題もあります。ワーホリでの期間を、単なるアルバイト経験としてしか表現していない点が、評価を下げる要因になりがちです。
OK例:成長エピソードとして整理した書き方
次に、同じ経験を評価されやすい形に整理したOK例を見てみます。
例:「海外の飲食店で接客業務を担当。英語による顧客対応やトラブル解決を経験し、異文化コミュニケーション力を習得。帰国後は、これらの経験を活かして顧客満足度向上に取り組みたいと考えています。」
この文章では、「どのような環境で何をしていたのか」という行動に加え、「そこでどのような力を身につけたのか」、さらに「今後どのように活かすのか」までが一連の流れで示されています。
経験をこのように整理することで、採用担当者はワーホリ期間を単なる空白ではなく、主体的に挑戦した期間として評価しやすくなります。同じ事実でも、書き方によって印象が大きく変わることが分かります。
詳しい成功事例は IBT公式ブログの関連記事一覧をご覧くださいテンプレート活用とプロの添削で仕上げる方法
ワーホリ経験を職務経歴書に落とし込む作業は、自分一人で行うと主観が強くなり、強みが十分に伝わらないことがあります。特に、国内の選考担当者にとってイメージしづらい仕事内容や、言語面の不安がある場合は、表現を整えることが重要です。
IBTでは、海外経験者やワーホリ帰国者の転職支援に精通したキャリアアドバイザーが、職務経歴書を個別に添削しています。経験の棚卸しから、採用担当者に伝わる表現への変換、英語対応の強みの整理まで、一人ひとりの背景に合わせてサポートします。
具体的には、次のような点を中心にチェックします。
- ワーホリ経験の目的と行動が、職務経歴書の中で一貫しているか
- 採用担当者が評価しやすい形で、行動と成果が示されているか
- 英語力や異文化対応力が、実務に結び付く形で表現されているか
- 希望職種との関連性が分かるストーリーになっているか
短期間で書類の質を高めたい場合や、客観的な視点からアドバイスを受けたい場合には、プロによる添削を活用することで、効率的にブラッシュアップすることができます。
まとめ
ワーホリ経験は、書き方次第で「空白の期間」から「挑戦と成長の証」へと変わります。採用担当者に伝わる職務経歴書に仕上げるためには、次の三つのポイントを押さえることが重要です。
- 職務要約で、経験の位置づけを一行で明確に示すこと
- 職務内容の欄で、事実ではなく行動と成果を具体的に記載すること
- スキル・資格欄で、実務で活用した力を整理して示すこと
これらを押さえることで、ワーホリ期間は単なる「海外で過ごした時間」ではなく、今後のキャリアに活きる経験として評価されやすくなります。さらに完成度を高めたい場合は、プロの添削を活用し、短期間で評価される職務経歴書へと仕上げることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1|ワーホリ期間は職務経歴書に書くべきですか?
はい。目的と活動内容を記載すれば、空白期間ではなく経験として評価されます。国名や期間に加えて、具体的な業務内容や学んだことを簡潔にまとめて記載すると、採用担当者が理解しやすくなります。
Q2|英語力はどのようにアピールすればよいですか?
TOEICなどのスコアに加えて、実際に英語を使った場面を記載すると効果的です。例えば、顧客対応、交渉、社内コミュニケーション、資料作成など、どのような場面でどの程度使用していたのかを具体的に示すと、実務性が伝わります。
Q3|アルバイト経験でも評価されますか?
アルバイトであっても、役割や工夫、成果を整理すれば十分に評価されます。担当した業務の範囲、多国籍な職場環境での協働、新人指導、売上やクレーム件数の改善などを、できる限り数字とともに記載することがポイントです。