「今の会社、昇給が渋すぎる…」「転職したら年収って本当に上がる?」──年収を上げたい人がまず知るべきなのは、転職=自動的に年収アップではないという現実です。
ただし、正しい戦い方をすれば、転職で年収アップは“かなり現実的”です。ポイントはシンプルで、①上がりやすい市場(業界・職種)を選び、②評価される実績の見せ方を整え、③条件交渉を設計すること。
この記事では、次の順番で「年収アップの再現性」を高めます。
- 最新データで「上がる確率」「上がり方(何%アップが多いか)」を把握する
- 年収が上がる人の共通点(転職パターン)を理解する
- 年収が下がる落とし穴を先回りで潰す
- 交渉に強くなるための準備・タイミング・言い方をテンプレ化する
- 年代別の具体事例で“現実ライン”を掴む
- 転職で年収アップできる人の割合(最新データ)と「上がりやすい人」の条件
- 年収が上がる転職パターン/下がる転職パターンと、回避方法
- 年収交渉の“勝ち筋”(準備・相場・タイミング・伝え方)と年代別の事例
転職で年収アップした人はどれくらいいる?【データで見る実態】
「年収アップできるのは一握り?」という不安を、まずデータで整理します。ここを曖昧にすると、転職の判断が“気分”になって失敗しやすいです。
転職で年収アップした人の割合は約39%
厚生労働省「雇用動向調査」によると、2025年上半期の転職入職者は、前職と比べて賃金が「増加」した割合が39.4%でした。一方で、「減少」31.5%、「変わらない」25.5%という結果も出ています。
さらに重要なのが“上がり幅”です。同じ資料では、「1割以上増加」26.7%、「1割以上減少」22.0%と示されています。つまり、「ちょい上げ」だけでなく、しっかり上がった人も一定数いるのが現実です。
| 区分 | 割合 | 読み取りポイント |
|---|---|---|
| 増加 | 39.4% | 約4割がアップ。転職で上げるのは十分現実的 |
| 変わらない | 25.5% | 条件は横ばいでも、将来の伸びしろで選ぶ人もいる |
| 減少 | 31.5% | 約3割は下がる。対策しないと普通に起きる |
| 1割以上増加 | 26.7% | 「年収交渉と選び方」がハマると伸びる |
| 1割以上減少 | 22.0% | 未経験転職・条件確認不足で起きやすい |
ここでの結論はこうです。
転職で年収は上がる(約4割)。でも、何も考えずに動くと下がる(約3割)。
だからこそ、次の章で「上がる人の型」を押さえます。
年収が上がりやすい年代・属性(数字で確認)
同じ雇用動向調査を見ると、年齢によって「増加率」に差があります。たとえば、2025年上半期のデータでは、20〜24歳は増加55.5%、30〜34歳は47.0%、40〜44歳は47.7%など、年代ごとに動きが見えます。
ただし、ここで勘違いしやすいのが「若いほどラクに上がる」という読み方です。若手は転職回数が少なく、伸びしろでの評価が起きやすい一方で、“上がる企業に入る”選び方をしないと頭打ちになります。
年収アップが安定して起きやすいのは、ざっくり言えば次のタイプです。
- 業界内での経験が3年以上あり、成果を数字で説明できる
- 職務の幅(担当領域・顧客層・規模)が広い
- リーダー経験がなくても、後輩育成・業務改善の実績がある
- 同じスキルでも、単価が高い企業(成長・高付加価値)に寄せられる
年収が上がりやすい職種・業界(傾向のつかみ方)
年収アップは「個人の頑張り」だけでなく、どの市場で戦うかが大きいです。平均年収データを見ると、職種カテゴリで差が出ます。たとえばdodaの2025年の職種分類では、専門職(コンサル等)が619万円、企画/管理系が580万円など、上位カテゴリが明確です。
一方で、「高年収業界に行けば勝ち」でもありません。大事なのは、自分の強みが“その業界で高く買われる形”になっているかです。
目安として、年収が上がりやすいのは次の条件が揃う領域です。
- 成果が数字で見える(売上、粗利、工数削減、CVR、LTVなど)
- 人材不足で採用競争が起きている
- 利益率が高い(付加価値が高い)
年収アップする転職の代表的なパターン
ここからが本番です。年収アップする人は、運が良いのではなく、「上がる構造」を選んでいることが多いです。
同業界・同職種で経験を活かす転職
最も成功率が高いのは、同業界・同職種での上位企業への転職です。理由は3つあります。
- 即戦力として採用側が評価しやすい
- 給与テーブルの根拠が作りやすく、オファーが上がりやすい
- 入社後の立ち上がりが早く、評価→昇給に繋がりやすい
ここでのコツは「何年やったか」ではなく、何をどれだけ動かしたかを数字で語ることです。
例:
×「法人営業を3年やりました」
○「既存顧客の継続率を○%→○%に改善し、解約理由を分類して施策化。粗利ベースで月○万円の下支えを作った」
平均年収が高い業界へ転職する
業界の“地力”も無視できません。国税庁の統計では、2024年分の民間平均給与は478万円(前年差+3.9%)とされています。景気や賃上げの影響もあり、全体の水準は動きます。
とはいえ、同じ職種でも「業界が違うだけ」で給与帯が変わるのは普通です。“同じスキルを高く買う業界”へ移すのは、年収アップの王道です。
ただし注意点があります。業界チェンジは、実績の“翻訳”ができないと評価されにくいです。面接では、次の型で説明すると刺さります。
- 共通言語化:自分の実績を、その業界のKPIに置き換える
- 再現性:同じ成果が別環境でも出る理由を示す
- キャッチアップ:業界理解を具体行動(学習・発信・資格・実務)で示す
成果主義・実力主義の会社を選ぶ
年収アップで地味に効くのが、評価制度の相性です。年功序列が強いと、成果を出しても反映が遅いことがあります。
求人票や面接で、次のポイントを確認してください。
- 評価の周期:年1回か、半期か、四半期か
- 評価の材料:定量(数字)と定性(行動)の比率
- 給与の内訳:基本給/固定残業/賞与/インセンの構造
- 昇給の実例:直近の昇給レンジ、評価分布
ここを確認せずに転職すると、「年収上がったけど固定残業が増えただけ」「賞与が読めない」みたいな事故が起きます。
ポジション・役割を上げる転職
年収は、突き詰めると「任せられる責任の大きさ」で決まりやすいです。プレイヤーからリーダー、マネージャーへ役割を上げる転職は、年収アップに直結します。
ただし、役割アップ転職で刺さるのは「人数」より「仕組み」です。
- 誰がやっても回るように業務を標準化した
- 採用・育成の流れを作った
- 目標設計→振り返り→改善の運用を回した
逆に年収が下がる転職パターンとは?
年収アップ転職の敵は、能力不足よりも設計ミスです。よくある“下がるパターン”を先に潰します。
未経験職種・業界への転職(下がる理由と対策)
未経験転職は、企業側から見ると「成果が未知数」です。そのため初年度は、年収が下がりやすい傾向があります。
対策は次の3つです。
- 段階移行:いきなり職種チェンジせず、隣接領域(営業→CS、経理→FP&Aなど)へ
- 実績の翻訳:前職成果を、応募職種のKPIに置き換えて語る
- 複線で勝つ:同職種(年収アップ狙い)と未経験(挑戦)を並行し、交渉材料を作る
年収以外を優先しすぎるケース(落とし穴)
働きやすさ・やりがい・リモートなどは大切です。ただ、ここでありがちな失敗が、条件を足し算しすぎること。
おすすめは、最初に「絶対に譲れない条件」を2つまでに絞ることです。
- 例:年収は維持以上 + 残業20h以内
- 例:年収+80万以上 + フルリモート
全部ほしいのは当然ですが、交渉の場では“優先順位がない人”は弱いです。
自己分析・市場理解が不足している(交渉で負ける)
年収交渉で負ける典型は、希望額に根拠がない状態です。採用側は「希望年収=その人の自己評価」と見ます。
最低限、次の材料は揃えましょう。
- 同職種・同年代の相場(複数ソース)
- 自分の実績(数字・再現性・難易度)
- 応募先での貢献仮説(入社後に何を改善するか)
ブランク・空白期間がある場合(説明の型)
ブランク自体がNGではありません。問題は説明が曖昧なことです。次の型で整理すると通りやすいです。
①理由(体調/家庭/学習など)
②期間中にやったこと(学習・改善・活動)
③今は問題なく働ける根拠(生活リズム・再発防止)
④その経験が仕事にどう活きるか(学び・視点)
年収アップしやすいスキル・経験とは?
年収は「頑張り」より、市場で高く売れる“型”があるかで決まりやすいです。ここでは、評価されやすい経験を“言い方”まで落とします。
マネジメント・組織改革経験(評価される言い方)
マネジメントは「人数」より「成果の出し方」が評価されます。
- 意思決定:何をやらないか決めた/優先順位を整理した
- 改善:属人化を減らし、仕組みに落とした
- 育成:再現性のあるOJT・評価基準を作った
面接では「課題→打ち手→結果(数字)→学び」の順で話すと、年収テーブルを上げやすいです。
上場企業での管理部門経験(“守り”でも上がる条件)
経理・人事・法務など管理部門でも、年収アップは可能です。鍵は“守り+攻め”。
- 守り:ミスゼロ、監査対応、規程整備、リスク低減
- 攻め:コスト削減、業務自動化、経営指標の見える化、制度改善
「ミスしない」は前提なので、改善でどれだけ工数/コストを減らしたかを数値で言えると強いです。
新規事業立ち上げの実績(再現性の見せ方)
新規事業で評価されるのは“華やかさ”ではなく、不確実性の扱い方です。
- 仮説検証(誰に/何を/いくらで)を回した回数
- 失敗からの修正(ピボット)の判断根拠
- 数字(売上/粗利/継続率/リード獲得など)
プレイングマネージャー(最強だが罠もある)
プレイングマネージャーは需要が高い一方で、業務過多で燃え尽きやすいという罠もあります。
内定前に必ず確認したいのは、
- プレイとマネジメントの比率(例:7:3/5:5)
- 評価軸(個人売上なのか、チーム成果なのか)
- 権限(採用・評価・予算の裁量があるか)
転職時の年収交渉のコツと注意点
年収交渉は「強気に言えるか」ではなく、準備8割・伝え方2割です。ここをテンプレ化します。
自分の市場価値と相場を知る(見るべき指標)
まず、相場を知らない交渉はほぼ負けます。dodaの平均年収データなど、複数の統計・サービスを参照し、自分の職種カテゴリのレンジを押さえましょう。
参考:
doda 平均年収ランキング
https://doda.jp/guide/heikin/
相場を見るときは、平均だけでなく「レンジ(幅)」も意識してください。企業規模・役割・成果で大きく変わります。
希望年収は「3パターン」用意する
交渉で迷子にならないために、最初にこの3つを決めます。
- 最低ライン:これ未満なら転職しない(生活防衛線)
- 希望ライン:現実的に取りにいく額(交渉の主戦場)
- 理想ライン:刺されば嬉しい(条件が良い場合の上限)
この整理があるだけで、条件提示の場で“焦って合意する事故”が激減します。
交渉のベストなタイミング
原則は内定後(条件提示のタイミング)です。面接序盤で強く言い過ぎると、採用側の印象が悪くなることがあります。
おすすめの流れは、
- 面接:実績・再現性・貢献仮説で「高く払う理由」を作る
- 内定:条件提示で初めて“具体額”を詰める
- 合意前:他社状況や現職条件も踏まえて最終調整
採用側のメリットを伝える(刺さる根拠)
交渉で使うべきは「気持ち」ではなく根拠です。次の3点セットが強いです。
- 実績:数字で出せる成果(売上、粗利、工数削減など)
- 再現性:なぜそれが出せたか(プロセス・思考)
- 貢献仮説:入社後、どこをどう改善するか(90日プランでもOK)
交渉の言い方(例)
「提示いただいた条件は大変ありがたいです。入社後は○○の課題に対して、前職での○○(実績)と○○(再現性)を活かし、最初の3カ月で○○まで持っていく計画です。その前提で、年収は○○万円(希望ライン)をご相談できないでしょうか」
エージェントを活用した交渉(任せ方のコツ)
年収交渉は、言いづらい人ほどエージェントを使う価値があります。コツは「丸投げ」ではなく、材料を渡して代行してもらうこと。
- 希望ライン/最低ライン
- 実績の数字と、比較対象(前年/チーム平均など)
- 他社選考状況(本当の範囲でOK)
【年代別】転職で年収アップした事例
ここでは、よくある成功パターンを「何をやって上がったのか」まで具体化します(※個人が特定されないように典型例として再構成)。
20代の転職で年収アップした事例
例:26歳/営業→IT企業のインサイドセールス
年収:380万円 → 450万円(+70万円)
- 前職の成果を「架電数」ではなく商談化率・受注率で整理
- 業界知識を補うために、SaaSの用語・顧客課題を学習し面接で提示
- 「入社後90日で何をするか」を短いプランにして提出
20代はポテンシャル採用も多いので、伸びしろ+準備の濃さで差がつきます。
30代の転職で年収アップした事例
例:33歳/経理→事業会社のFP&A寄り管理会計
年収:520万円 → 650万円(+130万円)
- 月次締め短縮(例:10日→6日)など、工数削減を数字で提示
- PL/BSだけでなく、意思決定に効く指標の見える化を実績化
- 条件提示で、役割範囲(裁量)とセットで年収を交渉
40代の転職で年収アップした事例
例:42歳/プロジェクトマネージャー→部門マネージャー
年収:700万円 → 850万円(+150万円)
- 成果を「炎上対応」ではなく、再発防止の仕組み化で語った
- 採用・育成・評価の運用を回した経験を整理
- 入社後の課題に対し、具体的な打ち手(体制/指標/会議体)を提示
50代の転職で年収アップした事例
例:55歳/専門職→顧問・アドバイザリー+実務支援
年収:800万円 → 900万円(+100万円)
- 経験年数ではなく、「何のリスクをどれだけ減らせるか」を明確化
- 守備範囲を明確にし、稼働条件(週○日等)も合わせて交渉
転職で年収アップするならエージェントは使うべき?
結論、年収アップ狙いなら使った方がラクです。理由は3つ。
- 非公開求人や高年収帯の求人にアクセスしやすい
- 企業の給与レンジや評価ポイントなど、裏側の情報を持っていることがある
- 年収交渉を代行してもらえる(これが一番効く)
一方で、合わない人もいます。
「自分のペースで進めたい」「応募企業を細かく選びたい」場合は、転職サイト+スポット相談の組み合わせもアリです。
転職と年収アップに関するよくある質問(FAQ)
転職で年収が下がる可能性はどれくらい?
直近の雇用動向調査(2025年上半期)では、「減少」31.5%です。約3人に1人は下がるので、対策前提で動くのが安全です。
希望年収はどう伝えるのが正解?
相場+根拠+入社後の貢献をセットで伝えるのが正解です。「生活が…」より「この成果を再現できるので」の方が通ります。
年収が上がりすぎる転職は危険?
危険というより、期待値が上がるので確認が必要です。役割範囲、評価軸、試用期間中の条件、固定残業の有無は必ず確認しましょう。
転職で年収は何%くらい上がる?
狙いやすい現実ラインは5〜15%です。もちろん職種・経験・競争状況で変わりますが、交渉設計ができるとこの帯に乗りやすいです。
年収100万円アップすると手取りはいくら?
ざっくりの目安として、税金・社会保険で差し引かれ、手取り増は年60〜75万円くらいに収まることが多いです(扶養状況や住民税、保険料で変動)。
※正確には年収帯・控除・自治体等で変わるため、最終は給与明細ベースで確認してください。
内定後に条件が微妙…断ってもいい?角が立たない?
断ってOKです。角を立てないコツは、感情ではなく条件で説明すること。
例:「ご提示は大変魅力的でしたが、現職との比較で○○の条件が合わず、今回は見送らせてください」
現職に残る交渉(カウンターオファー)はアリ?
アリですが、中長期で見て伸びる環境かを確認してください。一時的に上がっても、評価制度や事業成長が変わらないと、また詰まります。
まとめ|転職で年収アップを成功させるために大切なこと
転職で年収アップは可能です。実際に、最新データでも約4割は賃金が増加しています。
ただし、同じくらい重要なのは「下がる人も約3割いる」という現実。だからこそ、年収アップを成功させるには次の3つが効きます。
- 自分の市場価値を把握(相場と実績を数字で揃える)
- 上がる構造の会社選び(評価制度・給与内訳・役割の確認)
- 交渉の設計(3パターンの希望年収+根拠+タイミング)
「なんとなく転職」をやめて、「年収が上がる転職の型」で動けば、結果はかなり変わります。