「英語が活かせる仕事=通訳・翻訳・英語教師」だけだと思っていませんか?──実はそれ、かなりもったいない見方です。いま採用市場で評価されやすいのは、英語を“主役”にする働き方よりも、専門スキルに英語を掛け合わせる働き方です。本記事では、英語を使う意外な仕事を軸に、王道職との違い、年収目安、必要スキル、未経験からのロードマップまで一気に整理します。
- 「意外な英語の仕事」が増えている理由と、王道職との差
- 英語レベル別に狙える“現実的な職種”と年収目安
- 未経験から最短で仕事にするためのロードマップと注意点
1. 「英語を使う意外な仕事」とは何か:定義と選び方
本記事でいう「意外な仕事」とは、職業名の時点で“英語が必須”と見えにくいのに、実務では英語が価値になる仕事です。通訳・翻訳・英語教師のような王道職は、英語が看板そのもの。対して意外な仕事は、英語が“武器”として効きます。たとえば「EC運営」「カスタマーサポート」「ITサポート」「展示会運営」などは、職種名だけだと英語要素が薄く見えます。しかし実際は、海外顧客・海外拠点・英語マニュアルが当たり前に登場し、英語ができる人の希少性が評価に直結します。
選び方はシンプルで、判断軸は3つだけです。
- 英語の使用頻度:毎日か、週数回か、たまにか
- 英語の種類:会話中心か、読み書き中心か
- 伸びる掛け算:英語×(IT/マーケ/調整力/接客/法務・貿易など)で価値が上がるか
ポイント:英語力に自信がない人ほど、まずは「読み書き中心×業務スキル」で勝ち筋を作るのが合理的です。会話は後から伸ばせますが、業務経験は“職場に入らないと”積みにくいからです。
2. なぜ今、“意外な英語の仕事”が伸びているのか
「英語を使う意外な仕事」が増えているのは、流行ではなく構造変化です。企業側のニーズが、通訳者のような“英語専門職”から、英語で業務を回せる人へと移っています。ここでは背景を2段で整理します。
2-1. 越境ビジネス・インバウンド・リモートの3要因
まず、仕事の現場が国境をまたぐ機会が増えました。越境ECや海外向けマーケティングはもちろん、国内企業でも海外サプライヤーから仕入れることは珍しくありません。さらに、インバウンド需要の回復により、ホテル・空港・観光・医療など“現場側”でも英語対応の重要度が上がっています。
加えて、リモートワークの普及は「海外チームと一緒に働く」ことを身近にしました。拠点が日本でも、会議が英語、ドキュメントが英語、Slackが英語──という状況は、IT企業に限らず広がっています。英語は、海外勤務の特権ではなく、国内でも日常の業務言語になりつつあるのです。
2-2. 「英語単体」より「専門×英語」が強い理由
ここが最重要です。英語は大切ですが、採用側は「英語ができる人」を探しているわけではありません。探しているのは英語で“成果を出せる人”です。成果は、業務スキル・専門性・段取り力・数値感覚・対人調整などの上に乗ります。だからこそ、英語単体よりも、専門性とセットのほうが評価が高い。
もう1つ、現実的な話をします。翻訳・通訳の領域にはAIが急速に入っています。ただし、AIが強いのは「文章の変換」です。一方で、意外な仕事の現場では、状況判断・関係者調整・要件の切り分け・トラブル対応など、“業務そのもの”が価値の中心にあります。英語はそこで、速度と信用を上げる加速装置になります。
3. 英語を使う意外な仕事15選(年収目安・向き不向き付き)
ここからは実践編です。意外性が高く、かつ求人として成立しやすい職種を15個に絞りました。年収目安は、業界・地域・企業規模・経験で変動しますが、キャリア設計の“ざっくり地図”として役立ちます。
| 職種 | 英語の使い方 | 年収目安 | 未経験難易度 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 越境EC運営 | メール/商品ページ/CS | 450〜700万 | 中 | 改善が好き・数字に抵抗なし |
| 海外向けSNS・広告運用 | 投稿/分析/運用 | 500〜900万 | 中〜高 | 仮説検証が得意 |
| 貿易事務 | 書類/メール中心 | 350〜600万 | 低〜中 | 正確さ・手順が守れる |
| 外資系CS(在宅可) | チャット/メール | 400〜650万 | 低〜中 | 丁寧な対話ができる |
| ITサポート(海外対応) | マニュアル/会議/チケット | 450〜800万 | 中 | 調査・切り分けが好き |
3-1. 企画・マーケ・EC系(伸びやすい)
1)越境EC運営担当(年収目安:450〜700万)
海外に向けて商品を売るEC運営は、いま最も“実利が出やすい”領域の1つです。英語の中心はメールやチャットなどのテキストで、会話が必須ではない職場も多いのが特徴です。重要なのは、商品ページ改善や広告運用など、売上に直結する仕事を回せること。英語ができると、海外顧客の声を直接拾え、改善が速くなります。
- 主な業務:商品説明の英文化、海外CS、配送・返品の調整、販売データ分析
- 相性が良い経験:EC運営、接客、事務、ライティング、SNS
2)海外向けSNSマーケター(年収目安:500〜900万)
SNS運用は“投稿するだけ”と思われがちですが、実務は分析と改善の連続です。海外向けの場合、文化差や言い回しに配慮しながら、反応が取れる表現に落とし込みます。英語ができると、海外の競合アカウントやトレンドを一次情報として追えるのが強み。副業から入り、実績を作って転職につなげるルートも現実的です。
3)海外向けWeb広告運用(年収目安:550〜1,000万)
広告運用は、数字を見て意思決定する仕事です。英語の必要性は、海外媒体の管理画面や英語のクリエイティブ、海外チームとの調整で発生します。成果が数字で見えるため、実績が評価されやすく、年収レンジが伸びやすいのが特徴です。
4)海外向けコンテンツ企画・編集(年収目安:450〜800万)
英語の記事や動画の企画、編集進行、外注管理などを担います。翻訳ではなく「意図を整理して成果物に落とす」仕事なので、段取り力が評価されます。英語は“ネイティブ品質”よりも、目的に沿った伝わり方が重視されます。
3-2. 事務・調整・運用系(未経験が入りやすい)
5)貿易事務(年収目安:350〜600万)
未経験から入りやすい代表格です。英語は書類とメールが中心で、会話が苦手でも戦えます。書類の正確さ、締め切り管理、関係者との調整など、地味に見えて企業にとって重要な仕事です。慣れると「貿易×英語×業界知識」という強い武器になります。
6)海外カスタマーサポート(年収目安:400〜650万)
チャット・メール中心の英語対応で、在宅勤務が可能な求人もあります。求められるのは、難しい英語表現よりも、要点を整理して丁寧に案内する力です。マニュアル整備が進んでいる企業ほど未経験に優しく、育成も仕組み化されています。
7)海外取引先アシスタント(営業事務・調整)(年収目安:380〜650万)
営業の裏側で、日程調整、見積、契約周り、会議準備を支える仕事です。英語はメールとミーティングの補助が中心。現場が回るほど「この人がいないと困る」となりやすく、評価につながります。
8)外資系企業の総務・秘書(年収目安:450〜800万)
意外に盲点ですが、英語が使える総務・秘書は需要があります。役員の予定調整、出張手配、来客対応、社内連携など、英語ができるとスピードが上がり信頼が積み上がります。「英語で雑務」ではなく、「雑務を英語で高速に回す」ことで価値が出る仕事です。
3-3. 現場・ホスピタリティ系(英語で評価が跳ねる)
9)外資系ホテルのフロント・コンシェルジュ(年収目安:350〜650万)
英語ができると、VIP対応やトラブル対応の主担当になりやすく、評価の差がつきます。単語力よりも、落ち着いて説明する姿勢が重要。接客経験者が英語を身につけると、一気に市場価値が上がる領域です。
10)空港グランドスタッフ/空港サービス(年収目安:300〜550万)
空港は“突発”が起きやすい現場です。遅延・欠航・乗継・荷物のトラブルなど、英語で案内できる人は重宝されます。英語が得意なだけでなく、瞬時に判断し、相手の不安を減らす力が評価されます。
11)国際イベント運営(展示会・スポーツ大会など)(年収目安:350〜700万)
海外出展社や海外来場者の対応、ステージ進行、出展調整など、英語は現場の“潤滑油”になります。案件型の働き方もあり、経験が積み上がるほど単価が上がる傾向があります。
3-4. 専門性が強い高単価系(伸ばすと強い)
12)ITサポート/テクニカルサポート(海外チーム連携)(年収目安:450〜800万)
英語のマニュアルを読み、チケットを英語で切り、状況を整理して伝える。これができるだけで、任される範囲が広がります。会話が必須でない職場もあり、「読み書き×論理性」で戦えるのが魅力です。
13)海外調達バイヤー/購買(年収目安:500〜900万)
海外メーカーと価格交渉・納期交渉を行い、品質・コスト・安定供給を守る仕事です。英語ができると交渉のスピードが上がり、条件改善が進みます。数字に強い人ほど向いています。
14)医療ツーリズム/外国人患者コーディネーター(年収目安:400〜750万)
医療分野は専門用語が多い一方で、仕組みができるほど安定する業界です。通訳そのものよりも、受診前後の手配、説明資料の整備、院内連携など「仕組み化」が価値になります。英語は“安心”を生むための道具です。
15)海外向け広報(PR)/IRサポート(年収目安:600〜1,200万)
海外メディア向けの発表資料、英語プレスリリース、海外投資家向け説明の補助など。企業の“顔”を作る仕事なので責任は大きいですが、積めば強い専門職になります。文章力・整理力・事業理解がセットで求められます。
4. 英語レベル別:現実的に狙える職種マップ
英語の仕事選びで失敗する人は、最初から「会話が流暢」を目標にしがちです。しかしキャリアは、勝ちやすい場所から入るほど早い。ここでは、英語レベル別に“現実的に刺さる”職種を整理します。
TOEIC600前後(または英語に抵抗がない)
- 貿易事務:メールと書類中心。型があるので慣れやすい
- 海外カスタマーサポート:テンプレ運用から入り、表現を増やせる
- 海外取引先アシスタント:調整力が強い人ほど評価される
TOEIC700〜800(読み書き+簡単な会話)
- 越境EC運営:改善と数値に強い人は伸びやすい
- ITサポート:英語マニュアルとチケットで実務に強くなる
- 外資系総務・秘書:調整で価値を出しやすい
ビジネス会話ができる(会議でも戦える)
- 海外調達バイヤー:交渉で価値を作れる
- 海外向けマーケ・広告運用:成果が数字で見える
- 海外向け広報:事業理解×言語化で武器になる
現実的な結論:英語は“入口条件”ではなく“加点要素”として使うと、転職難易度が下がります。まずは入りやすい職種で業務経験を作り、英語の使用頻度を上げていくのが勝ち筋です。
5. 未経験からのロードマップ(90日・180日でやること)
未経験から「英語を使う意外な仕事」に入るなら、最短ルートは“英語×実務の証拠”を作ることです。資格の点数だけでは弱い。小さくてもいいので「英語を使って業務を回した経験」を可視化します。
最初の90日:応募できる状態を作る
- 職種を1〜2個に絞る:例)貿易事務/越境EC/海外CS
- 英語の土台を作る:英文メールの型(挨拶・依頼・謝罪・確認)を暗記
- 業務に近い練習をする:ECなら商品説明を英文化、CSならFAQを英語で書く
- ポートフォリオ化:Googleドキュメント等で「作ったもの」を1つにまとめる
次の180日:実務経験の“代替”を積む
- 副業・短期案件:翻訳そのものより、運用や進行管理の小さな案件が狙い目
- 社内異動・兼務:海外メール対応を引き取るだけでも実績になる
- 応募書類を成果型にする:「英語ができます」ではなく「英語で何を改善したか」
大事なのは、立派な肩書きではなく“証拠”です。たとえば越境ECなら「英語の商品ページを作り直してCVRが改善した」など、数値があると強い。CSなら「英語テンプレを作って対応時間を短縮した」でも良い。仕事の言語が英語だったという事実が、採用側の不安を消します。
6. 失敗しない求人の見抜き方:怪しい募集の特徴
英語系の求人は、見た目が良い一方で“中身”に差があります。以下のパターンは要注意です。
- 業務範囲が曖昧:「英語を使った幅広い業務」など、責任だけ増える可能性
- 英語レベルの定義がない:会話なのか読み書きなのかが不明
- 評価基準が不透明:成果がどう測られるかが書かれていない
- 教育体制がゼロ:未経験歓迎なのにOJTの説明がない
逆に良い求人は、英語が必要な場面が具体的です。「海外顧客へのメール対応」「海外拠点との週次MTG」「英語マニュアルに沿ったチケット対応」など、英語の用途が明確です。用途が明確なら、あなたも準備ができます。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 英語が話せなくても「英語を使う意外な仕事」はできますか?
できます。特に、貿易事務・海外CS・越境EC運営などは、英語の中心が読み書きで、会話が必須でない職場もあります。まずは“文章で対応できる”ところから入り、必要に応じて会話を伸ばすのが現実的です。
Q2. 未経験から最短で入りやすい職種はどれですか?
未経験の入口としては、貿易事務と海外カスタマーサポートが堅実です。型があり、教育が用意されやすく、英語の用途が限定されているケースが多いからです。次点として、海外取引先アシスタントも狙えます。
Q3. 年収を伸ばすなら、どの掛け算が強いですか?
年収を伸ばしやすいのは、IT×英語、マーケ×英語、調達(購買)×英語、広報×英語です。共通点は、成果が数値・交渉・事業価値に結びつきやすいことです。
Q4. AIの普及で英語の仕事は減りませんか?
「文章変換」だけを提供する仕事は影響を受けやすい一方で、意外な仕事の中心は、調整・判断・運用・改善などの業務です。AIを“道具”として使える人ほど成果が上がり、むしろ評価が上がる可能性があります。
Q5. TOEICは何点あればいいですか?
目安としては、読み書き中心なら600〜700、会議も視野に入れるなら750〜がひとつのラインです。ただし点数よりも「英語で何をやったか」の証拠が重要です。英文メールの実務例やポートフォリオがあると強いです。
Q6. 海外勤務が必須ですか?
必須ではありません。国内でも、海外顧客対応、外資系企業、海外拠点連携、インバウンド対応など、英語を使う場面は増えています。まず国内で実務経験を作り、希望があれば海外に広げるのが安全です。
Q7. 「英語を使う意外な仕事」を探すときの検索キーワードは?
職種名だけでなく、用途で探すのがコツです。例として「海外 顧客対応」「越境EC 運営」「英語 メール 対応」「英文 仕様書」「海外拠点 連携」など。英語の用途が明確な求人にたどり着きやすくなります。
8. まとめ:英語は“職業”ではなく“加速装置”にする
結論はシンプルです。英語は、それ自体を“職業”にするより、専門性に掛けて“加速装置”にするほうが強い。あなたが狙うべきは、英語が前面に出ないのに評価が上がる仕事です。まさに、英語を使う意外な仕事の領域です。
まずは、英語の用途が明確で、入りやすい職種から一歩踏み出してください。仕事に入ってしまえば、英語は毎日使う環境で伸びます。逆に、勉強だけで完璧を目指すと、いつまでも“スタートライン”に立てません。
あなたの英語は、眠らせておくには惜しい資産です。今日からは「英語で何ができるか」を証拠に変えていきましょう。