特定技能とはどんな制度?1号・2号の違いや採用の流れを徹底解説

9月 30, 2021 0 Comments

2019年4月から施行された新しい在留資格に特定技能があります。特定の業種に向けて開放されたことで、新しく調べ始めた該当業種のご担当者の方も多いのではないでしょうか?

実際、これまでたくさんのサイトを見たり、説明を受けたりしたことかと思います。

しかし、

「結局、どんな制度なのかよくわからない・・・」

というのが正直なところなのではないでしょうか?そこでこの記事ではそもそも特定技能とは?という基礎知識から、

  • 1号と2号の違い
  • 技能実習との違い
  • 特定技能の外国人を採用する流れ

など包括的に解説します。特定技能外国人の採用を検討しているご担当者の方はぜひ参考にしてください。

在留資格「特定技能」が取り入れられた背景

まず、「特定技能」は2019年4月に誕生した、かなり最近の在留資格です。なぜ最近になって新たな在留資格が生まれたのでしょうか?また、なぜ正社員としての就労を認める必要があったのでしょうか?

その答えはずばり、「人不足を解消するため」で、2025年までに34.5万人を特定技能人材として受け入れることが目標とされています。法務省入国管理局が2018年に出した「特定技能外国人運用要領」によると、

中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており,我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため,生産性工場や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力をなる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められているのです。

引用元:出入国在留管理庁

実際、特定技能で就労が許可された業種では、他の業種よりも人手が足りていないと言われています。例えば、特定技能で就労が認められている介護業界では2020年度の有効求人倍率が約4.5倍だったと全国社会福祉協議会・中央福祉人材センターが発表しました。2020年度の日本全体での有効求人倍率は約1.1倍だったので、約4倍になります。

つまり人不足の解消のために、人手不足が深刻な業種を対象に在留資格「特定技能」が新設されたということです。

特定技能とは?

特定技能とは、一言で言えば「認められた14業種で正規職員として働くことができる資格」のことです。14業種には外食業、製造業、介護業などがあります。

しかし、「この業種で働いている外国人はかなり前からいるよね・・・?」と思う方もいるかと思います。それは至極ごもっともです。しかし、彼らのほとんどが正社員ではなかったのです。

これまでの在留資格では、かなり優秀な人材でない限りは外食業、製造業、介護業などで外国人が正規職員として働くことが出来なかったのです。しかし、特定技能ではそれが認められるようになりました。

そして、正規職員という点に付随して特に採用のご担当をしている方には覚えておいて欲しいことがあります。それは、同一労働同一賃金が適応されるということです。つまり、日本人と同じ給与形態で雇用する必要があるのです。

そのため、「外国人だから安い給料で雇用できる」という考えは真っ先に捨てる必要があります。

特定技能分野とは?

特定技能とよく一緒に言及されるワードとして「特定産業分野」があります。 特定産業分野とは、特定技能を受け入れることができる業種のことです。JITCOによれば、特定産業分野は以下のように定義されています。

生産性向上や国内人材確保の取り組みを行った上で、なお人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」とされています。

引用元:JITOCO 公益財団法人 国際人材協力機構

それでは、どの業種が特定産業分野にあたるのでしょうか?

 受け入れ業種・職種

特定技能で受け入れられるのは以下の14業種になります。

業種現時点の受け入れ人数有効求人倍率
介護業2,703人4.5倍
ビルクリーニング業362人2.95倍
素形材産業1,975人2.83倍
産業機械製造業2,432人2.89倍
電気・電子情報関連業1,322人2.75倍
建設業2,781人5.33倍
造船・船舶業760人2.5~4.4倍
自動車製造業348人3.0倍
航空業22人4.17倍
宿泊業110人6.18倍
農業4,008人3.11倍
漁業354人2.08~2.52倍
飲食料品製造業10,450人2.78倍
外食業1,517人4.32倍

前の段落でもお伝えしましたが、この14業種は人不足が深刻とされている業種です。実際、この14業種の有効求人倍率は2倍~6倍です。

また、特定技能の受け入れが進んでいる業種と進んでいない業種は以下のようになっています。飲食料品製造が最も多く、2021年6月時点で10000人を超えています。逆に、航空業などは新型コロナウイルスの影響もあり、ほとんど受け入れが進んでいません。

 受け入れ上限人数

次に、各事業所が受け入れられる人数上限についてです。外国人を「受け入れられる人数には限りがある」という認識の方も多いと思います。結論としては、建設業と介護業を除いては、特定技能人材は無制限に受け入れることが出来ます。建設業と介護業の受け入れ可能人数は以下のように閣議決定されています。

建設業:特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数と特定活動の在留資格で受け入れる外国人(外国人建設就労者)の数の合計が、特定技能所属機関の常勤 の職員(外国人技能実習生、外国人建設就労者、1号特定技能外国人を除く。) の総数を超えないこと。
介護業;事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること。

引用元:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針の一部変更について

つまり、建設業では特定技能と特定活動という2つの資格での就労者が日本人の正規職員の数を超えないことが条件です。また、介護業もほとんど同様で、特定技能での就労者が日本人等の常勤介護職員の数をまで、つまり日本人等の常勤介護職員と同じ数まで受け入れられるということです。

 特定技能1号と2号の5つの違い

実は、特定技能には1号と2号があります。ちなみに、ここまでにご説明したことはほとんど特定技能1号の話です。そして特例技能2号は特定技能1号の修了と1号の時とは別の技能試験に合格することが必要です。

つまり、5年間特定技能1号で働いた方だけが特定技能2号の資格を得ることが出来ます。

また、特定技能2号で働いている人材は現状存在しません。なぜなら、特定技能制度が2019年に発足したものであり、2号の取得要件である「特定技能1号で5年間働くこと」を満たせる人が存在しないためです。

皆様が調べているのも大半は特定技能1号の話だと思います。ちなみに現状2号が適応されるのは建設業と造船・船舶工業の2つだけです。従って、それ以外の業種の方は参考程度ということで流し見をしていただいても問題ありません。

1 在留期間の違い

まず、特定技能の1号と2号では在留期間が異なります。何度も書いているように特定技能1号は5年間が上限ですが、2号になると無制限になります。そして、もちろん定期的な更新が必要です。

しかし、この更新期間にも違いがあります。1号は更新までの期間が最大1年間なのに対し、2号は最大で3年間付与されます。つまり、特定技能1号よりも2号の方が日本にいる期間が長く保証されているのです。

2 技能水準の違い

技能水準については、2号の方が高いと言えるでしょう。なぜなら、前述の通り特定技能1号で5年間働いて2号を取得するための試験に合格した方のみが取得できる資格だからです。

3 日本語能力水準の違い

日本語能力水準に関しては、明確にどちらの方が高いとは言えません。なぜなら、特定技能2号を取得するときに、日本語能力は必要とされていないためです。

ただ、特定技能2号の人材は少なくとも特定技能1号で5年間は働いた人です。そのため、平均的には特定技能2号の方が日本語能力は高いといえるかもしれません。

しかし、客観的な基準はないので、日本語能力が高いかどうかはその人次第と言えるでしょう。

4 家族の帯同の違い

家族が帯同できるかどうかは、在留期間と並んで一号と二号の最も大きな違いと言えるでしょう。特定技能1号では、家族を帯同して在留することはできませんが、2号ではそれが可能です。

実際、特定技能1号の段階では家族を母国に置いてきていて特定技能2号になって家族を連れてくることをモチベーションにして働いている1号の外国人も数多くいます。

5 試験内容の違い

特定技能2号の取得要件のひとつ、技能試験はどのようなものなのでしょうか。結論から言うと、現状まで未定です。先述のように特定技能が発足してから日が浅く、まだ2号での就労に向けて手続きをしているような人もいないためです。

従って、試験日程や内容に関しては現状国家からの発表を待つしかありません。

特定技能2号は、高度人材の在留資格とほとんど変わらない待遇となっています。しかし不確定な部分が多く、まだ制度として出来上がっていません。

今後試験内容も明らかになることでしょうし、もしかすると適応される業種が増えるかもしれません。今後の動向を見逃さないようにしましょう。

「特定技能」と「技能実習」の違い

ここで、特定技能と技能実習の違いについて紹介します。こちらも違いがわかりづらいと感じている方が多いのではないでしょうか?またこの2種類の資格のどちらの採用をしようか決めかねている方もいるかと思います。

主な違いは以下の通りになります。

 技能実習特定技能
在留期間3年(3号を取得できれば5年)5年
転職の可否不可可能
受け入れ可能人数業種ごとに上限あり上限なし(介護・建設を除く)
来日目的技能を持ち帰る日本に住んで正規職員として働く

ここから、表の内容について詳しく解説します。

在留期間

まず、在留期間に関しては技能実習も特定技能も上限は5年間です。しかし、技能実習では基本的に3年間しか在留しません。

なぜかと言うと、3号への切り替え条件が難しいことや、3号に切り替えたほうが在留期間や条件面でメリットが大きいためです。

転職の可否

特定技能と技能実習では、転職の可否にも違いがあります。技能実習は転職ができないのに対し、特定技能は転職することができます。

これだけ聞くと、「なら、技能実習の方がいいんじゃないか?」と考えるのではないでしょうか?確かに、転職は出来ませんが注意が必要なポイントがあります。

それは「失踪」です。技能実習生は転職が出来ないため、雇用条件や労働環境が合わなかった場合にはこのような形でやめる、言い方を変えると消えるしかないのです。

実際2019年には届け出があった分だけで約9,000人の実習生が失踪しています。

では、転職ができる特定技能はどうなのでしょうか?結論から言うと、特定技能の離職率は限りなく低いです。その理由は3つあります。

1つめは、次に働けるまで時間がかかることです。特定技能の申請は企業の書類と一緒に行われます。つまり転職する場合、新しい就業先を見つけてビザ申請を行い、場合によっては引っ越しまですることになります。そうなると少なくとも3ヶ月ほどかかります。この3ヶ月間は仕事をすることが出来ないため収入がなくなります。

2つ目は、リスクが大きいためです。退職してから一定期間就職先を見つけられない場合、ビザの執行も考えられます。そのため、今の受け入れ先にとどまったほうがいいというケースが多いです。

そして3つ目の理由は、そもそも転職をしたがる方自体少ないためです。特定技能は日本人と同等の待遇が保証されています。そのため、不満を感じている方がそもそも少ないのです。実際、国全体として正確な数値は出ていませんが、制度が開始してから90%以上の方が辞めることなく定着していると言われています。弊社の場合でも約95%の方が定着しています。

受け入れ可能人数

まず、特定技能に関しては前述の通り介護業と建設業以外は受け入れ人数の上限はありません。

しかし、技能実習には受け入れ人数に限りがあります。そして受け入れ人数は受け入れ先の常勤職員数によって変化します。30人以下なら3人まで、40人以下なら4人まで・・・といった具合です。詳しくは以下の表を御覧ください。

人数技能実習生受け入れ可能人数
301人以上常勤職員の1/20人
201人以上300人以下15人
101人以上200人以下10人
51人以上100人以下6人
41人以上50人以下5人
31人以上40人以下4人
30人以下3人

ちなみに、技能実習の受入人数は業種ごとに違いがあるものではありません。

また技能実習と特定技能は制度の目的にも違いがあります。特定技能が正規職員として働くための資格であるのに対し、技能実習はその技能を持ち帰って母国で活かすことが目的です。そのため、在留期間や扱いも異なっているのです。

特定技能を取得するには

特定技能を取得するのにはいくつか条件があります。

まず、先程の段落で紹介した法務省入国管理局の発表には「一定の専門性・技能を有する外国人材を幅広く受け入れる仕組みを構築する必要がある」と書かれています。

つまり、一定の専門性・技能を持っていると認められなければ特定技能人材として働くことは出来ないのです。では、そんな特定技能ビザを取得にはどうすればいいのでしょうか?具体的な2つの方法を紹介します。

1 試験に合格する

特定技能を取得する1つ目の条件は、試験に合格することです。そして試験も日本語能力を審査する「日本語試験」とその職種の知識や能力を審査する「技能試験」の両方が必要です。日本語を審査するものにも2通りあります。

英検の日本語版とも言えるJLPTという試験の4級以上、N4と呼ばれる試験もしくはよりハイレベルな試験の合格が必要です。もしくはJFTと呼ばれる試験でA2レベル以上に合格する必要があります。

次に「技能試験」です。こちらは業種によって違った試験が行われます。例えば製造業なら「製造分野特定技能1号評価試験」、外食業なら「外食業特定技能1号技能測定試験」という試験がそれぞれの業種で行われています。

またこの試験は、内容だけでなく試験頻度や試験日程も業種によって様々です。次回の試験日程が確定していないような業種もあります。そのため、業種ごとの試験日程を頻繁にチェックする必要があります。

特定技能の試験について詳しくは以下の記事をご覧ください。

2 技能実習2号を修了する

特定技能を取得する際、技能試験を受けることが免除されることがあります。それは、その業種の技能実習2号(3年)を修了することです。

例えば、介護の特定技能を取得するときは介護の技能実習2号を修了している必要があります。もちろん、他の業種では試験は免除されません。

しかし、ここで注意するべきことがひとつあります。技能実習で他の業種を修了していた場合、技能試験は必要ですが、日本語試験は免除されるということです。

「特定技能所属機関」と「登録支援機関」とは?

特定技能人材の雇用には、「特定技能所属機関」と「登録支援機関」が必要です。ここからはこの2つについて見ていきましょう。

特定技能所属機関とは

特定技能所属機関とは、読んで字の通りです。特定技能人材が所属している企業や事業所のことを特定技能所属機関と言います。「これだけならわざわざ説明しなくてもいいんじゃないか?」と思ったことかと思います。

しかし、ビザ申請や届出等のやり方等について調べると、このように特定技能所属機関と記載されています。そのため、特定技能人材が所属している企業などのことを特定技能所属機関と呼ぶことを頭の片隅にでも入れてくださればわかりやすいです。

登録支援機関とは

次に登録支援機関についてです。

登録支援機関については2つ覚えておいてください。まず、「特定技能人材の業務外を中心にサポートをする機関」であることと、「特定技能を受け入れるときに必ず必要なもの」ということです。 

このように特定技能人材が仕事に専念できるようにサポートする機関です。オリエンテーションや契約の支援など生活面で煩雑な部分のサポートや、日本人との交流促進や日本語学習機会の提供といった日本に溶け込むためのサポートを行うことに加え、定期的な面談といったメンタルケアにより離職を防ぐことも登録支援機関の役割です。

また、登録支援機関は特定技能の受け入れに必ず必要です。そしてその導入の仕方は2通りあります。ひとつめは、既存の登録支援機関に委託すること、そしてもうひとつは自社で登録支援機関の業務を行う許可を得ることです。この業務は基本的に前者の「既存の登録支援機関に委託する」プランを取るパターンが多くなっています。なぜなら、自社で支援するための許可を得るには様々な条件が必要になるためです。実際、法務省の特定技能外国人受入れに関する運用要領では登録支援機関に委託しなくても良いと認められるために以下のいずれかに該当することが必要だと定められています。

 ・過去2年間に就労するための資格で在留する外国人を適正に雇用した実績があり、役員または職員が支援責任者として特定技能人材が所属する事業所ごとに選任されていること

 ・過去2年間に就労するための資格で在留する外国人の生活相談業務をした経験のある職員が支援担当者として特定技能人材が所属する事業所ごとに選任されていること

 ・その他で支援業務を果たすことができると認められた人が、特定技能人材が所属する事業所ごとに選任されていることの3点です。

実際、長く外国人採用を行っていて手続き等も含めて慣れている場合でなければ、自社で登録支援機関業務を行うことはあまり推奨できません。それには3つ理由があります。

・必要書類を集め、条件を満たすのに時間がかかる

・特定技能外国人の母国語対応ができるスタッフが必要

・見切り発車をすると法令違反につながる可能性がある。

特に3番目は要注意です。実際、法令違反をしてしまうと最悪の場合6ヶ月の懲役と罰金が課されます。これを避けるためにも最初は登録支援機関を委託した方が無難です。

また、登録支援機関についてはこちらで詳しくご紹介しておりますので、ご確認ください。

特定技能を採用するには?

では、特定技能を採用するには、どのような方法があるのでしょうか?いくつかの方法がありますが、ここではメジャーな2つの方法をご紹介します。

自社で採用する

1つ目は、自社で採用を内製化することです。SNS等を利用して特定技能で仕事を探す方をスカウトしたり、海外の学校と契約したりするというケースが挙げられます。

しかし、この方法はかなりの手間とコストがかかります。中長期的に100名規模での採用を考えているならオススメですが、そうでないなら難しいでしょう。

人材紹介会社を使う

次に、紹介会社や管理団体による紹介を受けて採用することです。この方法を利用している事業所様が大半だと思います。

多少のコストはかかりますが、自社で募集するチャネルを構築するよりコストはかからないでしょう。また、これらの機関は登録支援機関を持っているケースが多く、ビザ申請や住宅を探すなどのサポートがついていることもあります。

そのため、初めての採用ならこのような形が理想になるでしょう。

特定技能についてのまとめ

長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。特定技能はまだわかりづらい点が多いですが、少しでもお伝え出来ていたら良かったです。今後特定技能人材はどんどん増えていきます。それに連れてどんどん扱いやすい制度になっていくはずです。実際に採用する際にはまたお役立ちできれば幸いです。

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