外国籍が日本で働くには、「就労ビザ」または「特別活動ビザ」が必要となります。よく耳にする「就労ビザ」とは異なり、聞き馴染のない「特定活動ビザ」とは一体何か疑問に感じる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「特定活動ビザ」に関して、該当業種から申請方法まで徹底解説します。特定活動において外国籍の採用をお考えの担当者様はぜひ参考にしてみてください。
目次
特定活動とは?
外国籍が日本で働く際に必ず必要なビザは「就労ビザ」または「特定活動ビザ」です。一般的に「就労ビザ」を利用して日本で働いている外国籍は、法務省が認めた業種にしか従事できません。
しかし、認められている特定の業種のみでは多様化する外国籍のニーズに応えられません。つまり、外国籍を必要としている業種に人材が行き届かないのです。
そのため、「就労ビザ」とは別で「特定活動ビザ」という在留資格があるのです。
特定活動にはどんなものがあるの?
「特定活動ビザ」は、「就労ビザ」では認められていない職種に対しても在留資格を与えることができるため、より多くの優秀な外国籍人材が日本で働く機会を得られます。「特定活動ビザ」と一括りで言っても、特定活動として認められる活動には3つの種類が存在します。
以下で該当する活動をそれぞれ確認してみましょう。
入管法に規定されている特定活動
この活動は入管法によって規定されている活動です。3種類の活動があり、該当するのは以下のような活動です。
特定研究活動
この活動は研究機関にて特定分野の研究や研究の指導に携わる活動です。また、同様の分野に関する事業の経営も含まれています。
もっと詳しく知りたい方は、法務省のホームページ出入国在留管理庁ホームページ (moj.go.jp)でも説明されていますので、ご覧ください。
特定情報処理活動
この活動は文化や自然分野に属する技術や知識が必要になる情報処理に携わる活動です。
特定研究家族滞在活動及び特定情報家族滞在活動
この活動は特定研究活動と特定情報処理活動に携わっている外国籍の扶養を受けている配偶者や子どもが日本で行う活動です。
告示特定活動
上記の入管法に規定された以外の活動で法務大臣が告示として指定した特定活動を指します。2018年6月13日に告示されたもので、現在46種類の活動が存在します。
告示特定活動に該当する具体的な活動は、後ほど詳しくご紹介します。
告示外定活動
世の中には、「就労ビザ」や上記で挙げた入管法によって規定されている活動や告示特定活動に該当する以外の活動も多くあります。告示外特定活動とは、それらの活動を認めるものです。
具体的には、以下のような場合が当てはまります。
- 留学生の就職活動期間
- 外国から呼び寄せた両親
- 在留資格の更新ができない場合の出国準備期間
- 人道上において配慮が必要な時
特定活動ビザを申請するには?
特定活動ビザを申請するタイミングはそれぞれです。入国前に申請するものもあれば、入国後に在留資格の変更によって申請する場合もあります。
では、それぞれの特定活動ビザの申請方法はどのようなものか詳しく見ていきましょう。
告示特定活動の場合
告示特定活動は入国前に申請する必要があります。日本国内での活動内容が記載されている「在留資格認定証明書」を事前に提出しておかなければなりません。
この審査は10日から40日と比較的長くかかります。そのため、必要な書類の準備なども含めて時間の余裕を持って手続きを始めてください。
審査が無事に終わると、在外公館にてビザ申請を行います。ビザを受け取ることができると、入国して在留カードを受け取り完了です。
ここまでは他の在留資格の申請方法と同じ流れですが、特定活動にはこれに加えて、「指定書」というものが公布されます。「指定書」は在留カードには記載されていない特定活動について詳しく記載されているため、必ず確認してください。
契約等の場で在留資格カードの提示を求められた場合には、この「指定書」も提示する必要があります。「指定書」はとても重要ですので、失くさないようにしてください。
以上の手続きをもっと詳しく知りたい方は、出入国在留管理庁のQ&A | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)をご参考ください。
留学ビザなどから変更する場合
留学ビザを持っている人は、就職活動を6か月間行うことが可能です。しかし、この場合は就職活動を目的とした特定活動ビザに切り替える必要があります。
在留資格の変更手続きを行うには、在留資格変更許可申請書を含むいくつかの書類を地方出入国管理局に提出しなければなりません。変更手続きを行った後の在留期間は原則6ヵ月とされていますが、6ヵ月間で就職活動を終えられなかった場合は、卒業後1年間まで延長することが可能です。
しかし、在留資格を延長する場合には必ず手続きが必要ですので、忘れないように注意してください。
無事に就職先が決まり、日本で働く場合には就職活動を目的とした特定活動ビザから、就労ビザに切り替える必要があります。この時も、先ほど説明した在留資格変更と同じ申請方法です。
しかし、ここで注意しなければいけない点があります。それは、特定活動ビザを所有していたからといって必ず就労ビザが認定されるわけではないということです。
例えば、特定の技術や知識が必要な在留資格の場合は必ず理系の大学を卒業しておかなければなりません。
就労ビザの申請の際には、このような気をつけなければならない条件があります。そのため、事前に確認しておくことをおすすめします。
46種類の告示特定活動
ここでは上記で紹介した、46種類の告示特定活動について見ていきましょう。
※現在、11号・13号・14号は削除されています。
1号 | 外交官・領事官の家事使用人 |
2号の1 | 高度専門職・経営者等の家事使用人 |
2号の2 | 高度専門職の家事使用人 |
3号 | 台湾日本関係協会の在日事務職員とその家族 |
4号 | 駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族 |
5号 | ワーキングホリデー |
5号の1 | ワーキング・ホリデー |
5号の2 | 台湾人のワーキング・ホリデー |
6号 | アマチュアスポーツ選手 |
7号 | 6号のアマチュアスポーツ選手に扶養されている配偶者あるいは子 |
8号 | 外国人弁護士 |
9号 | インターンシップ |
10号 | イギリス人ボランティア |
12号 | 短期インターンシップを行う外国の大学生 |
15号 | 国際文化交流を行う外国の大学生 |
16号 | インドネシア人看護研修生 |
17号 | インドネシア人介護研修生 |
18号 | 16号のインドネシア人介護研修生の家族 |
19号 | 17号のインドネシア人介護研修生の家族 |
20号 | フィリピン人看護研修生 |
21号 | フィリピン人介護研修生(就労あり。) |
22号 | フィリピン人介護研修生(就労なし。) |
23号 | 20号のフィリピン人看護研修生の家族 |
24号 | 21号のフィリピン人介護研修生の家族 |
25号 | 医療・入院 |
26号 | 25号で治療を受ける者の日常生活の世話をする活動 |
27号 | ベトナム人看護研修生 |
28号 | ベトナム人介護研修生(就労あり) |
29号 | ベトナム人介護研修生(就労なし) |
30号 | 27号のベトナム人看護研修生の家族 |
31号 | 28号のベトナム人介護研修生の家族 |
32号 | 外国人建設就労者 |
33号 | 在留資格「高度専門職」で在留している外国人の配偶者の就労 |
34号 | 高度専門職外国人あるいはその配偶者の親 |
35号 | 造船労働者 |
36号 | 研究・教育者あるいは、研究・教育に関する経営者 |
37号 | 情報技術処理者 |
38号 | 36号、37号の活動で在留する者に扶養される配偶者又は子 |
39号 | 36号、37号で在留する者あるいはその配偶者の親 |
40号 | 観光・保養 |
41号 | 40号で在留する外国人の家族 |
42号 | 製造業に従事する者 |
43号 | 日系四世 |
44号 | 外国人起業家 |
45号 | 44号外国人の扶養を受ける配偶者又は子 |
46号 | 4年制大学又は大学院の卒業生でN1以上の日本語力を有する者 |
47号 | 46号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者あるいは子 |
48号 | 東京オリンピックの関係者 |
49号 | 48号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者あるいは子 |
まとめ
特定活動には技能実習、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、またワーキングホリデーなど様々な種類が存在するため、「指定書」に記載されている活動内容を必ず確認する必要があります。許可されている活動内容とは異なるにも関わらず、外国人を雇用してしまうと罪に問われてしまいます。
そのため、外国人の採用は正しいノウハウを持った人材会社を利用することをおススメします。求める活動内容やスキルに合った外国人材を紹介してもらえるため、外国人材の採用をお考えの担当者様はぜひ一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
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