建設業で人材を募集するにあたり、「特定技能人材」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。そして、実際に採用しようとしている方もいるはずです。
しかし、
「やり方がわからない・・・」
こういった方は非常に多いのではないでしょうか。
実際、建設業での特定技能採用は他の業種よりも複雑です。
そこで、今回は建設業で特定技能人材を採用する流れや必要なステップをご紹介します。
目次
特定技能 建設とは?
最初に、特定技能 建設についておおまかに説明します。基礎知識としてご覧ください。
なぜ、特定技能 建設ができたの?
まず、特定技能 建設の在留資格が出来た経緯について説明します。
建設業に特定技能が新設された理由は、一言で言うと「人手不足対策」です。
そもそも特定技能自体が、日本で人手不足が深刻だとされる14業種で外国人が正社員として働けるようにするために作られています。そしてその14業種のうち1つに建設業が入っているのです。
また建設業と造船・舶用工業に限っては、特定技能2号の資格もあります。特定技能1号は5年が上限ですが、特定技能2号を取得すれば期間の上限なく就労することが出来ます。
特定技能の要件や2号について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
特定技能とはどんな制度?1号・2号の違いや採用の流れを徹底解説
特定技能 建設の受け入れ人数
次に、建設業での特定技能がどれくらい受け入れられているのかについて解説します。
出入国管理庁のデータによると、建設業では2,781人の特定技能人材が受け入れられています。(令和3年6月時点)
これは全14業種の中で3番目に多く、建設業は特定技能の受け入れが進んでいる業種だと言えるでしょう。
特定技能 建設で受け入れられる職種
特定技能 建設とはいっても、建設におけるすべての職種で受け入れが出来るわけではありません。この点も混乱を招くポイントです。しかし、こちらの一覧で解決できればと思います。
建設技能人材機構によると、特定技能 建設で受け入れられるのは以下の18職種となっています。
- 型枠施工
- 鉄筋継手 ※
- 左官
- 内装仕上げ
- コンクリート圧送
- とび
- トンネル推進工 ※
- 建築大工
- 建設機械施工
- 配管
- 土工 ※
- 建築板金
- 屋根ふき
- 保温保冷
- 電気通信 ※
- 吹付ウレタン断熱 ※
- 鉄筋施工
- 海洋土木工 ※
※が付いている職種は、技能実習制度がありません。そのため特定技能の取得には必ず「建設分野特定技能1号評価試験」の受験が必要となります。
受け入れられる職種については、理解を誤れば違法にもなり得る重要問題です。そのため、ここでしっかりと確認してから受け入れましょう。
建設で特定技能人材を採用する手順
ここまで、特定技能 建設について見てきました。しかし、
「実際、手続きには何が必要なの?」
「どうやって採用すればいいの?」
という方はまだ多いでしょう。
そこで、ここで受け入れる際に必要な条件や手続きについて、こちらで説明します。
受け入れ企業が準備しなければならないこと
特定技能 建設人材を受け入れるにあたって受け入れ企業側が準備しなければならないことが3点あります。
- 建設業法第3条許可の取得
- 建設技能人材機構(JAC)への加入(正会員でも賛助会員でもOK)
- 建設キャリアアップシステムへの登録
①に関しては、建設業を営んでいる以上は問題ないでしょう。しかし、②と③は事前に手続きをしておく必要があるので要注意です。
まず、②の建設技能人材機構(JAC)への加入方法は、正会員と賛助会員で異なります。
正会員になるには、正会員団体と呼ばれる法人のいずれかに連絡すればOKです。職種ごとに法人が分かれていますが、どの法人に加入しても全ての職種で特定技能の採用が可能となっています。
賛助会員になるには、まず資料請求が必要になります。次に、資料請求時に送られるメールより資料に沿ってエントリーフォームに申請をしてください。そして送付される資料に同封された必要書類から必要書類を送付しましょう。入会審査が承認されれば加入完了となります。
ちなみに、正会員と賛助会員で入会費や年会費の形態が異なります。費用に関することも注意してどちらの会員になるかを選びましょう。
また、③の建設キャリアアップシステムへの加入方法も説明します。
採用した人材(公式ページでは技能者と呼ばれます。)の免許証といった本人確認資料をシステムに登録します。システム上で審査が完了した後、建設キャリアアップカードを指定の住所に登録します。
そして事業者側は建設業許可通知書などの指定された書類の提出を求められます。こちらの書類も提出すれば完了です。
JACと建設キャリアアップシステムに加入する際に利用するサイトは下記になります。是非とも特定技能人材を採用する際にご利用ください。
採用するまでのプロセス
ここでは特定技能 建設の人材を採用するプロセスを説明します。こちらも他の13業種とは異なる点が多いので、注意が必要です。
有料職業紹介が使えない?
特定技能人材は、有料職業紹介で採用されることが多いです。しかし、建設業に関しては人材紹介が使えません。そのため、他の業種とは大きく方法が異なります。
技能実習からの移行
まず、自社の技能実習生を特定技能に移行する方法が一般的でしょう。
技能実習生を特定技能に移行する際、登録支援機関を探す必要がある点に注意しましょう。
登録支援機関は、技能実習生の管理団体から紹介を受けることや、特定技能を扱う人材紹介会社に委託することが一般的です。登録支援機関の選定に困った際には、是非こちらからご検討ください。
求人媒体に掲載する
日本人と同じように、求人媒体から採用することもひとつの手段です。
しかし、外国籍人材には日本でメジャーとなっている求人媒体を使う習慣があまりありません。そのため、あまり有効な手段とは言えないでしょう。
紹介を受ける
費用が発生する形式での紹介は禁止されていますが、無料での紹介を受けることもひとつの手段です。人材紹介会社や行政書士、管理組合などから紹介を受けられるケースがあります。
この方法は、登録支援機関も付いてくる場合が多いため依頼をする手間が省ける点はメリットになるでしょう。
特定技能 建設を取得する条件
ここでは、特定技能 建設を取得する条件をご紹介します。こちらの取得には、以下2つのいずれかが必要になります。
- 技能実習2号を修了する
- 特定技能試験に合格する
それぞれ解説します。
技能実習2号を修了する
技能実習生として技能実習2号を修了した方なら、そのまま特定技能に移行することができます。しかし、上述の通り建設業の場合下記の6職種は技能実習がありません。そのため、以下の職種に従事させたい場合は試験に合格する必要があるので、注意が必要です。
- 鉄筋継手
- トンネル推進工
- 土工
- 電気通信
- 吹付ウレタン断熱
- 海洋土木工
特定技能試験に合格する
次に、特定技能試験に合格することが必要です。試験には大きく以下の2つがあります。
- 日本語能力試験
- 建設分野特定技能1号評価試験
試験についての詳しい内容は、こちらをご覧ください。
特定技能試験の「日本語試験」と「技能試験」を分かりやすく解説
また、試験日程は以下のサイトに公開されています。試験日程は随時更新されるので、受験させたい方がいる場合は逐一チェックしておきましょう。
建設分野特定技能1号評価試験情報と申込み|JAC|一般社団法人 建設技能人材機構
登録支援機関への委託と選定
特定技能人材を受け入れる際には、登録支援機関への委託が必要です。
登録支援機関とは、簡単に言うと業務内外で特定技能人材のお世話をする機関です。
特定技能人材を採用する際、こちらの機関への委託もしくは自社で支援する許可を得ていることが必要になります。
登録支援機関やその選び方について、詳しくはこちらをご覧ください。
特定技能「登録支援機関」とは?支援内容から申請方法、選び方まとめ
まとめ
ここまで、特定技能 建設の受け入れ方法について解説してきました。建設においては他の業種とは違った点もあり、難しいポイントが多いです。
こちらの記事が少しでもお力になれていれば幸いです。